アトピー性皮膚炎:ステロイド外用薬の使い方
【炎症が強いとき:皮膚(ひふ)の状態が悪いとき】
まずしっかりステロイド外用剤を使って皮膚の炎症をなくすことが大事です。
量がまず問題になります。いわゆるフィンガーチップユニットというのを参考にします。指先から最初の関節のくびれのところまでステロイドのチューブを出していきます。1関節までで0.5gになりますが、その量で大人の両手のひらの面積くらいに塗ってください。
塗り方も大事で、ステロイド単剤を塗るときはすり込まないようにして、薄皮1枚をおおうようになるべく均一にぬりましょう(すこしテカる程度)。
ステロイドの塗る回数はまずは、1日2回(朝と入浴後)に塗ります。
ステロイドを初めて使う場合やなかなか良くならない場合は1週間毎に受診しながら、塗り方や回数、ステロイドの強さを相談しましょう。
大体2週間程度までには改善するはずです。
よくなれば1日1回に減らしますが、ロコイドやキンダベートといったミディアムクラスなら1日2回から中止にします。
【よくなって維持するとき】
~プロアクティブ療法とリアクティブ療法~
ステロイドをつかってきれいになったら、1~2週間程度でステロイドは中止し、保湿剤に切り替えて毎日塗布してください。併せてスキンケアもつづけてください。
その途中で悪くなったら、ステロイドを2~3日、1日1回使用(ロコイド、キンダベートなら1日2回)して皮膚をまた良い状態にしてください。
これをリアクティブ療法といいますが、軽症の方なら、このやり方で良い状態が維持できる期間が長くなり、だんだんとステロイドの使用頻度も少なくなり、やがて不要になります。
しかし、ステロイド外用薬をやめたとたん悪くなる方がいます。この場合は皮膚の状態がよくてもステロイドを塗布することを続けます。
まず1日1~2回ステロイドでよくなるまで、続けます。その後も医師と相談しながら、連日つづけ、十分よくなった時点で、ステロイドと保湿剤を1日おきに交互に塗り続けます(皮膚がきれいになってもステロイドを完全に中止しないことが重要)。
よい状態の皮膚でも週に3回、2回とステロイドを塗る頻度は減らしながら続けます。
ステロイドを間欠的に使いながら、再発を極力防ぎ、だんだん保湿剤だけの日を増やしながら、良い状態を維持する方法です。
これをプロアクティブ療法といい、目に見えない程度で残っている炎症を徹底的にステロイドでよくする方法です。
この方法をおこなった場合もステロイドの中止を目指しますし、悪いまま放置しておいて、ステロイドで良くしようと考えたときのステロイドの量よりはトータルでは少なくなります。
これで、なかなかステロイドがやめられない状態がつづくなら、ステロイドにかわる免疫抑制剤の外用薬としてシクロスポリン外用剤=タクロリムス軟膏を2歳以上の方には検討することになります。
M’s(エムズ)こどもクリニック瑞江
院長 高松昌徳